新聞と週刊誌では不十分
STEP15で解説した新聞や週刊誌による情報収集は、いわば基本と言えるものです。(ステップ15:株式投資で勝つために情報を集める~基本編~参照)株式投資は情報戦の側面があり、情報をたくさん持っている人ほど強いため、新聞と週刊誌だけではやはり不十分です。そこで、それ以外に情報を集めるためにはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
投資情報誌
まず気になるのが、投資情報誌です。代表的なものには『ダイヤモンドZAI』『日経マネー』『投資手帖』『投資経済』などがあります。投資情報誌は偏った情報が溢れているため、情報を取捨選択する力がなければ、誤った情報や予測を安易に受け取ってしまう可能性がある、諸刃の剣であると言えます。
『ダイヤモンドZAI』などは投資家から大人気の月刊誌ですが、これは読まない方が良いでしょう。内容をざっと見れば分かるのですが、内容があまりにも浅薄であり、中には全く役に立たない情報や、正気の沙汰とは思えない情報が掲載されていることもあります。あまり詳しく言うと角が立つためここでは詳述を控えますが、書店で立ち読みなどしてみると良いと思います。同様の理由から、『日経マネー』も読む価値はあまりないでしょう。
投資情報誌から情報を得たいならば、『投資手帖』や『投資経済』が良いでしょう。これらの雑誌は、表紙も中身も質素で、『ダイヤモンドZAI』や『日経マネー』のような華やかさはないため、あまり目につくことがありません。しかし、この飾り気のなさは内容にも現れています。飾り立てるあまり誇張した情報や半ば誤った情報などをさわがしく書き立てることがなく、冷静に書かれているという印象を受けます。このような投資雑誌を、参考程度に読むのは無益ではないでしょう。
経済誌
月刊の経済誌も役に立つものです。例えば、『財界』や『経済界』などと言ったものが挙げられます。話題の企業にスポットを当てて経営者にロングインタビューをするなど、経済全般というよりも「経営」や「人」に注目した内容が充実しています。
企業の数字(業績)と経営者の人となりというのは全く無関係ではありません。優れた人物がトップに立ってこそ数字もついてくるものです。世界的に著名な投資家が、経営者と面会をしてから投資を決めるということはよくあることですが、これもやはり経営者の「人物」を無視することはできないということの表れです。
個人の零細投資家の我々が経営者と個人的に面会することなど不可能であるため、その人となりを知るためにはこのような経済誌を利用するのが最も手近な方法です。
有価証券報告書
全ての企業は有価証券報告書を公開しています。これは、企業のあらゆる情報をまとめた資料であり、企業のホームページから取得することができます。
有価証券報告書には、業績に関する情報、業績予想、財務情報、役員情報などが詳細に書かれています。つまり、有価証券報告書を読み込むことによって、その企業の実態を詳細に把握することができるのです。新聞・週刊誌・投資情報誌・経済誌などでは到底知ることのできない細かい情報を得ることができます。
色々な情報収集によって気になる企業が見つかったならば、有価証券報告書を読むことでその企業を詳しく知ることは必須の作業です。
企業サイト
企業のサイトを見ることも、情報収集の一つです。これまで述べてきたあらゆる情報源にプラスして、企業サイトも見ておきたいものです。企業サイトを見れば、企業の数字には表れない情報を得ることができ、それが投資の参考になることがあります。
例えば、先日PCデポの株価が急落しました。これは、よく分からないサービスを契約させられていた人が解約を申し出たところ、高額の解約料を請求されたということがSNSで拡散し、「悪徳企業ではないか」という印象が一気に広まってしまったからです。
PCデポの株価は、2012年には200円以下でしたが、2013年から徐々に上がり始め、先日の急落前には、1600円を越えるほどにまで成長していました。また、顧客のPCトラブル相談に関して解決できないものは一つもないと言われるほどのサポート体制を整えていたため、市場から非常な好感を持たれていました。これらのことから、PCデポは有力な成長株として注目を集め、投資家から人気を得ていました。
先日の急落で泣きをみた投資家は多かったことでしょう。これらの投資家の中には、企業の数字だけを見て企業サイトを無視していた人も多かったことと思います。企業サイトを見ればサービスの概要を確認することができ、高額の解約料も知ることができたのです。「この契約内容はいつか問題になりそうだ」という予想を立てて、投資を避けることもできたはずです。
以上のように、新聞と週刊誌の他には投資情報誌、経済誌、有価証券報告書、企業サイトなどが情報源となります。もちろん、世の中の非常に多くのことが株価と関連しているため、その他にも気になるものは積極的に活用し、貪欲に情報を収集していきましょう。
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