証券会社は色々ある
さて、いよいよ取引を始める段階になったならば、それに先立って証券会社に口座を開設する必要があります。色々な証券会社がありますが、ネット証券と総合証券では絶対にネット証券を利用すべきです。総合証券は手数料が高く利便性が悪いためです。ここでは、いくつかのネット証券を比較検討し、おすすめの会社を紹介します。
マネックス証券
マネックス証券は、ネット証券ではかなり人気が高い証券会社であり、新規公開株の取り扱いが多いことからも人気を得ています。手数料も安く、情報量が多いのも特徴です。
売りとなっているのはマーケットボードというツールであり、逆指値注文がやりやすいためデイトレーダーなどに好まれる傾向があるようです。もっとも、長期投資をするならばこのようなツールの有無は大した問題にはなりません。
楽天証券
楽天証券は、楽天系列の証券会社です。手数料も安く、情報ツールがしっかりしていると評判を得ています。また、投資信託や海外投資にも力を入れ始めており、バランスの取れた証券会社であると言えます。
しかし、楽天証券は一日にどれだけ売買を繰り返しても手数料が一定となる「いちにち定額コース」を設けるなどしていることからも分かる通り、短期投資家向けの構成となっているきらいがあります。そのため、長期投資を重視するならば、マネックス証券と同様に強いておすすめと言うことはできないでしょう。
カブドットコム証券
カブドットコム証券は、三菱UFJフィナンシャルグループの証券会社であり、信頼性は絶大です。手数料の割引サービスが特徴的であり、50歳以上の人や60歳以上の人が割引となるシニア割引があったり、カブドットコム証券の株式の保有者を株主優待として割り引く制度などを設けています。
そのため、割引制度が適用される条件に当てはまる人は、カブドットコム証券を利用してみると良いかもしれません。
ライブスター証券
ライブスター証券の特徴は、手数料の安さです。新規口座開設をした人は、約2ヶ月間全ての取引手数料が無料になるというサービスも行なっています。しかしながら、短期投資家でないならばこのサービスは大して旨味がなく、それほど気にはなりません。
GMOクリック証券
GMOクリック証券は、10~50万円の少額の取引において業界最低首位級の手数料を打ち出していることにあります。このほか、はっちゅう君という取引ツールを設けており、注文を便利に行うことができます。しかし、上記の通り長期投資にあたっては注文のしやすさ、スピードなどはそれほど問題にはなりません。
証券会社はどこで比較するか
このように証券口座を比較していくと、どこも手数料の安さや注文スピードなどを競い合っています。たしかに、手数料は安いに越したことはないのですが、長期投資家は短期間にたくさんの売買を行わないため、手数料は高すぎる水準になければ大した問題にはなりません。
最近はデイトレードが流行っているため、そのような投資家にとっては注文システムも重視すべきでしょう。しかし、長期投資家にはこれも問題になりません。したがって証券会社は手数料以外の面で選んでいく必要があります。
注目したいのは、サポート体制やセキュリティ体制などがです。会社名は伏せますが、上記の証券会社の中には、サポート体制やセキュリティ体制に問題がある会社もあります。いくつか私の体験をお話します。
体験記:手数料が高すぎる!?
私が初めて取引を開始したころ、元手が少なかったためミニ株を買おうとしました。そこで売買画面を見てみると、手数料が100円くらいになっていました。まだ分からないことも多い時期だったので、確認のためにサポートセンターに電話をし、「この手数料100円というのは、注文する全ての株にかかるのですか?それとも1株当たりにかかるのですか?」と聞いてみました。
すると、サポート担当者は「1株に対してです」と言います。500円くらいの株を20株買おうとしていたのですが、もしサポート担当者の言うことが本当ならば、1株を買うためには600円が必要となってしまいます。あまりにもおかしいと思って色々調べてみると、買おうとする全体に100円がかかるということでした。サポート担当者はサポートするどころか、嘘を教えていたのです。
取引の質問をしても意思疎通が難しかったので、おそらくはサポートセンターのスタッフの知識が乏しいのではないかと思います。このような証券会社もあるため、注意が必要です。
なぜかを教えず結論だけを言い張る
上の会社はダメだと思って他社に乗り換えることにした私は、サポートセンターを質問攻めにし、難のある会社は避けるという方針を採りました。そして、ある会社に電話をしてみたところ、びっくりするような対応を受けました。
私の質問とは、セキュリティに関することでした。私はサポートの人に、「IDとパスワードを紛失した場合には郵送にて知らせるとのことですが、もし私以外の人が私の名を騙ってIDとパスワードを聞き出そうとしたらどのような対応になりますか?」と聞いたところ、「ご本人様確認を行なってから受け取って頂くので大丈夫です」と言われました。
そこで、「もしその人が私に繋がりのある人物で、仮に私の身分証明書を持っており、身分を偽った場合には受け取ることはできますか?」と聞いてみると、しどろもどろになって「それは、ご本人様しか受け取れないようになっていますので、身分を偽って受け取ることはできません」とのことでした。
「それは、どのような仕組みで本人しか受け取れないのですか?」と聞いてみると、仕組みには一切触れずに「システム的にご本人様しか受け取れないようになっていますから」というような回答の一点張りでした。
仕組みを話してくれれば納得できますが、それを教えずに結論だけを押し付けられては話になりません。
大切なお金を扱う証券口座において、IDとパスワードに関する質問にこのような回答しかできないのですから、辟易してしまいました。この証券会社はアルバイトのスタッフにでも対応させていたのでしょうか。
初心者にも安心のサポート体制なら「SBI証券」がオススメ
私が次に電話したのがSBI証券でした。SBI証券は手数料や利便性で決して他社に劣るところがありません。そして、なおかつサポート体制も非常に優れています。
色々と質問したとき、SBI証券のサポート担当者も要領を得ない、よく分からない対応でした。「よく分からない対応をする会社ばかりなのかな」と残念になりました。しかし、サポート担当者はすぐに専門の担当者に繋いでくれ、質問には的確に答えてくれました。
これなら安心と思って利用していますが、今でもサポートセンターに電話をすると、少し難しい問題になるとすぐに専門の担当者に繋いでくれるため、サポートが非常にスムーズです。
このほか、住民票取得代行を行なっているのもありがたいことでした。これは、口座を開設する本人に代わって、SBI証券が住民票を取得して全ての手続きを進めてくれるというものです。
私もNISA口座を開設するにあたって、引っ越し前の住民票を取得する必要があったのですが、面倒だったので住民票取得代行を依頼しました。依頼して2週間くらいで完了したと記憶しています。自分で行なったのは住民票取得代行の依頼くらいのもので、ほとんど手を煩わせることがありませんでした。
このように、SBI証券はサポート面において他社に優れています。手数料や利便性では比較しづらい時代、サポートの優れているSBI証券を利用されることをオススメします。
後書き
株式投資「初級編」始め方と勉強法は、以上の20のステップをもって終わりとなります。株式投資の勉強といえば、一般的には色々なテクニックを学ぶものと思われていますから、私の教えるようなやり方で本当に稼げるのだろうかと不安になる人もいるかもしれません。
しかし、株式投資にせよ何にせよ、一番大切なことは基本に忠実であることです。基本を押さえずに小手先のテクニックに頼ったところで、稼げるはずはありません。そのようなテクニックで儲けることを推奨しているセミナー、書籍、情報商材などは全て嘘であるといっても良いでしょう。
株式投資も人生も、「偏なく党なく王道蕩蕩」の態度で歩むべきです。投資家の誰それがああしている、こうしている。皆が買っている、売っている。アナリストが買いを推奨している、売りを推奨している。
そんなことに惑わされて偏ったり、同調したりしているようでは、損失を出すばかりです。株式投資の長き歴史の中で研究されてきた長期投資の有意性を信じ、また株式投資の歴史の中で培われた王道を信じて、蕩蕩と投資していきましょう。焦らず、急がず、じっくりとやっていけば、株式投資でお小遣いを稼ぐことは誰にでも可能なのです。